聴覚障がいを考える

  <耳の不自由な方が教会にみえたら>

1.まず確認すべきこと

 

1.1.どのような介助が必要なのか

音を大きくすれば聞えるという方、音を大きくしても不明瞭な雑音としか聞えない方がいらっしゃるため、どのような介助が必要なのかを尋ねてみる。「どの程度聞えているのですか?」ではなく、「どのようなお手伝いが必要ですか?」と尋ねるとよい。

 

1.2.支援の仕方

手話ができる方がいらっしゃれば、手話通訳があれば望ましい。

手話でのサポートができない場合は、できる限り、文字で今の状態をお知らせする。具体的にはOHPによる要約筆記、個別対応による筆談など。

音を大きくすれば聞える方の場合は、マイクを始めとする音響設備の整備、ゆっくりはっきり発音することを心がける。

 

1.3.礼拝で必要なサポート

礼拝は、音楽で始まり、音楽で終わるといっても過言ではないほど、音楽によって進むことが多いため、その都度まごつかないように、礼拝前に、すべての聖書個所や歌う賛美歌に栞や付箋を貼って準備しておくとよい。

サポートをしようとすると、案外進み方が早いことに気づくため、少しゆっくり発音してもらうなどあらかじめわかっている場合は、司会者、牧師先生と打ち合わせをしておくとよい。

説教はあらかじめ、牧師先生と相談ができれば、要約ではなく説教原稿をプリントしていただき、隣の席で今どこを話しているか指差しで追う。

賛美歌は、音程がとれないから関係ない、という態度ではなく、歌詞を指で追い今まわりの人が何をしているのか、どういう状態にあるのか、を常に伝えるよう心がける。

前奏の開始、説教前の祈り、献金の祈りなどはできる限り要約筆記で伝える。

 

3.愛餐会などの交わりにおいて

たとえ小さな雑談や冗談であっても、皆がなぜ笑っているのかがわからない、なにを話しているのかがわからない、という状態は疎外感を感じ、孤独に感じるもの。できるだけ、今置かれている状況、集まりの流れの予定、終了時間など、「情報」を文字ないし手話で伝える。その上で疑問点はその都度聞いてもらうようにする。

 

4.聴覚障がい者による奉仕の可能性

障がい者であっても,主と教会のためにお仕えしたいという思いを持っている人は少なくありません。例えば皆で掃除や後片づけをする場合、「あなたはそこで座っていてください」ではなく、一緒にできることがあればともに奉仕したいものです。交わりが深められて行くにつれて「一緒にできる奉仕」が何であるのか、見えてくるはずです。

私どもの教会では礼拝当番など、他の方々と変わらず参加して頂いています。

5.その他

現在、公的機関からは宗教団体等への手話通訳士の派遣は認められていません。

これは、悪用されることを避けるためとも言われています。また、教会用語などでは独特の表現もありますので、教会の中で手話の学びや支援の体制を整えることもまた大切だと考えられます。私どもの教会では、耳の不自由な教会員の転会者を迎えて、有志で月に2回程度、手話の学び会を設け、賛美歌や主の祈り、簡単な日常会話などを学んでいます。

また、耳の不自由な方は視覚や他の感覚によって情報を得ているため、外出にはとても神経を使い、緊張しているとおっしゃいます。サポートメンバーも、同様に、耳から入る情報をできる限り伝えるために、サポートにはとても神経を集中させる必要があります。

そのため、できる限りお互いができることを補い合う、出席ができないときなどは気楽に他の方にサポートをお願いできる程度には複数の方で支援する体制づくり、「あの人がサポートできるからいい」ではなく、教会に連なる人々誰があたってもサポートができるような分かち合う心がなにより大切だと思います。